ビスクドールといえば、ひんやりとした温度すら感じられるほどに美しい顔立ち、目の前にあるのにどこか遠くを見つめるような眼差しを想像する方が多くいらっしゃいます。乱暴に扱えば割れてしまう磁器製であることや創作人形やキャストドールにはない写実的な造形、幼い少女ながら完成された美をたたえることに、ある種恐ろしささえ感じるかもしれません。
しかし、ビスクドールは美しさ一辺倒かというとそうではなく、耳元でそっと秘密のお話をしてくれそうなあたたかな雰囲気のお人形や、迷子のような不安げでいじらしい様子のお人形、まさにイノセントの象徴ともいえる天使のようなお人形など多種多様なドール達が存在するのです。同じ人形の顔型から作り出したドールが、顔のつくりは一緒であるはずなのに、全く異なる表情を浮かべていることは、実はよくあることなのです。
何故これほどまでに人形の印象が変わるのかというと、個性を重んじつつ随所に散りばめられた美のこだわりによって、お人形ひとつひとつの魅力が引き出されているのです。顔の磨き方からメイク、ドレスまで全く同じお人形はいません。
ビスクドール愛好家も、初めて触れる方も、まずはコレクションに並ぶ人形たちをご覧ください。当館の人形は全て、熟達したビスクドール作家・旅人容子氏が、アンティークにならいオリジナルに学び作り出した珠玉のドール達です。きっと胸を焦がすほどの素敵な出会いがあるはずです。
お知らせ
2024/11/18
ブリュ・ブルブテのお嫁入り動画を公開しました
2024/09/17
ブリュ・ジュンのお嫁入り動画を公開しました
2024/09/17
新作A・Tを掲載しました
2022/01/26
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2021/11/09
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2020/06/23
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ベベタビト人形館が所蔵しているお人形は、西洋人形のうち幼い少女の姿を模したビスクドールと呼ばれているものです。フランス語のビスキュを語源に持ち、何度も焼き重ねられた磁器の美しい顔と濡れたように光る硝子の瞳を持っていることが特徴です。
ビスクドールは観賞用のお人形から次第に子どもの遊び相手へと役割が変わっていくのですが、それは立位だけでなく座位も取れるボディのつくりや、身体を横たえるとまぶたを閉じるスリーピングアイや、顔の角度によって瞳を左右に動かすフラーティアイといった目もとの仕掛けなどからもうかがうことが出来ます。さらに文献を紐解くと、ボディに鳴き笛を入れることで「ママ、パパ」と呼びかけるだけでなく実際に手足まで動かすことが出来るドールや、オルゴールや蓄音機を内蔵させたもの、べべ・グルマンやべべ・テトゥールと呼ばれるクッキーを食べたり、ミルクを飲むことが出来る仕掛けを持つものなども存在しています。
これらは19世紀のフランス・ドイツで作られていたもので、わずか1世紀に満たない短い間に黄金期を迎え、やがてその文化は衰退することとなるのですが、生みだされてから1世紀を経過した現代でもビスクドールは(機能的なものは失っていても)当時の姿を保っており、ファンの手元で愛され続けています。
ビスクドールとの初めての出会いは、
チョコレート会社の懸賞品でした。
その素敵なアンティークドールを見たとき、
文字通り身体に衝撃が走ったのを
鮮明に覚えています。
以来、かつての偉大な人形作家達が生み出した
ブリュ、ジュモー、スタイナーといった
アンティークドールを現代に蘇らせたくて、
20余年間お人形を作り続けています。
ビスクドール作家旅人容子
工房 ベベタビトで作られている人形たちは、ドロドロの液体である泥漿から人型を作り出し、目を入れドレスをつくるという気の遠くなるほど様々な工程を経て生みだされています。この無から有を生みだすことこそ、人形制作の喜びの原点であると旅人容子氏は語ります。
ここでは実際に泥漿が人型を得て、美しい面(おもて)が生みだされる様子をご紹介いたします。
ベベタビト人形館は、ビスクドール作家 旅人容子氏の生み出した200体を超えるビスクドールをどなたでも気軽にご覧頂けるよう無償で展示し、お譲り渡しのお手伝いをしております。
製造後100年を経たビスクドールは、アンティークドールという呼称で扱われます。それはすなわち、100年もの間、幾多の人の手を渡りながら大切にされてきた証でもあります。当ビスクドール館に並んでいるのは、アンティークを最上の師として旅人容子氏が生み出したビスクドールたちです。いわゆる創作人形と違い旅人氏のオリジナルではなく、その目標はあくまでもアンティーク、100年以上前の天才人形作家たちへと遡っていくのです。
過去100年を振り返ると、日本に限らず、ビスクドールを盛んに製造していたヨーロッパにおいても二度の大きな戦争や数多くの自然災害を経験しています。現存するアンティークドールはその戦禍を免れ、大切にされ生き抜いてきた人形たちです。
旅人容子氏は初めての個展で語っています。「戦争は二度とあってはならない。人形を生みだす立場の人間としても、自分が生みだした人形たちが100年先にも壊されたりせず大切に可愛がってくれる人の傍にいてほしいと思うのです」と。
ベベタビト人形館は、なにより工房ベベタビトのファンとして、皆様がこの小さくも愛らしい世界へ足を踏み入れるお手伝いをできたら、これほど嬉しいことはありません。
工房 ベベタビトでは毎年、様々な個性を持つ人形が生みだされています。
しかし彼女たちは、面(おもて)を持ち、きれいなドレスを身にまとっていますが、まだ完成している状態ではありません。
人形を望まれた方がその手元に置き、名前をつけ語りかけ、ともに暮らしてくださることによって人形に魂が宿り、愛情を傾けられることによって、その人形は初めて完成を迎えるのだと旅人容子氏は語ります。
年を重ねれば重ねるほどに人形は妖しくも一段と輝きを増していきます。それはきっと愛してくださる方々によって魂が込められ、愛されているという自信に満ちあふれているからなのでしょう。
ぜひ、あなたの手元で完成を迎える人形の美しさをお楽しみください。