アンティーク・リプロダクトドールどちらにも言えるのですが、気に入った作品があっても具体的な大きさが分からないことはよくあります。
〇号、FB〇〇、GB〇〇など、表記すら統一されていないため、それはいったい何センチメートルなの?という疑問は、ビスクドール初心者なら一度は抱くことでしょう。
今回はビスクドールのサイズ表記についてご説明いたします。
アンティークドールは号数もしくはインチで表記されていることが多いようです。
厄介なのはこの号数表記で、大きさに幅があるようなのです。ヘッドの裏側、工房のサインと共に号数を記載してある人形が多いのですが、必ずしも適合サイズのボディがつないであるわけではないようです。さらに一体一体手作りで作られているものなので、同じ10号サイズの記載でも人形によっては5cmほど大きさに違いがあることがあります。
1号=(だいたい)10インチとなっており、2号だと11インチ、3号は12インチのように、号数とインチ数が比例しています。例外として、5号と7号、10号以上は号数に対し2インチずつ増やしていきます。
10号の人形を例に挙げると、10号=21~22インチがまず求められます。1インチは約2.5cmなので、21×2.5cmから22×2.5cmとなり、52.5~55cmが人形の身長となります。
リプロダクターによく使われる素材メーカーにシーリー社が挙げられます。シーリー社の基準はウィッグやボディの長さ・大きさならばインチ、スリップなどの重さはガロンで表示しています。
ヘッドのモールドにはそれぞれ適合するコンポジションボディのサイズ(FB〇〇、GB〇〇など)が記載されているため、多くのリプロダクターは人形の足の先から頭のてっぺんまでの出来上がりサイズではなく、適合するボディのサイズで表示することが多いようです。
FB14と記載してある人形を例に挙げると、FBはフレンチボディを表し、数字の14はボディの長さが14インチという意味です。
1インチは約2.5cmなので、ボディの長さは14×2.5cm=35cm、これにヘッドの長さを足したものが人形の身長ということになります。
ですが、当館のドールをFB10からFB21.5まで小さい順に並べてみると、FB14まではなだらかに大きくなっていくのに、B16でグンとサイズが上がって見えます。
そこでシーリー社含め数体のフレンチボディを定規で実測するとFB10は約5%、FB12は8%程もインチ数の割に小さめで、FB14に至っては10%も小さいものも。逆にFB16は5%程も大きめ。少なくとも手元の十数体のフレンチボディは、インチ数通りのサイズではないと言えます。
300体近い人形制作を行ってきた作家の旅人先生によると、やはりFB14とFB16のところで大きな落差があるそうです。リプロドールのボディメーカーは限られるため(知る限り全社廃業しましたが)、復刻作家が入手できるボディも限定されるので、一般的にも人形の身長をボディサイズから推定する際は、おおざっぱな参考に留めた方がいいかもしれません。
ちなみにGBはジャーマンボディを表しています。
(※ボディのサイズに関する訂正や補足情報をお持ちの方がおられましたらお知らせ頂けると幸いです。)
写真はリプロダクトドールの大きさを比較したものです。ミレットサイズまではオールビスクボディ、10インチ以降はコンポジションボディです。具体的な数値のないミレットサイズは約30cm、ペティートサイズは約20cm、一番小さいミニチュアサイズは約14cmの手のひらサイズです。(右端のスマートフォンは約14cm、写真のボディはフレンチ、ジャーマン混在)
ただし、アンティークドールにも言えることなのですが、ジュモーは全体的に首が細く長いのに対し、ブリュは首が短く太いなどヘッドそのもののサイズが統一されていないこと、またボディもフレンチとジャーマンで身長が少し異なるので、あくまで参考値程度にお考え下さい。